主人公役/梶裕貴さん/禁断の密告レポート
「主人公の演者さん」
その日は、ほぼ丸1日漬けであった。
最後の声優さんに担当していただくボイスの数は、かなりの少数。収録の時間も、2時間に満たない予定。
筆者は、一足早い安堵感を覚えていた。
だが、しかし……
予測を超えるユーザーの知識と知恵
公式ページでは未発表ながらも、すでにネット上では的を得ていらっしゃる方が多くて驚かされている。
今回、紹介させていただくのは、主人公を演じていただいた梶裕貴氏である。
サムライ足る資質
筆者が敵である悪魔を「仲魔」にして戦う主人公の設定、主人公に立ちはだかる主要な敵悪魔の神話的な出自などを説明させていただいた際の、氏の好奇なまなざしは印象的であった。
「悪魔」に物怖じしない氏の姿勢からは、すでにサムライ足る資質があふれ出ていた。
ガントレットが、その資質を見逃すはずがない。
「無個性」という個性
メガテンでは「プレイヤーが主人公」であるというスタンスを大事にする。
ゆえに氏にも、「ヒロイックながらも個性を出しすぎない」という、なんとも無茶なオーダーをさせていただいた。
氏の存在感と声の印象を鑑み、正直、収録前には一抹の不安もあった。
だが氏のさじ加減は絶妙であった。
こちらの意図を理解し、それを迅速にこなす氏は、恐らく、あらゆるパラメーターが高くていらっしゃるのだろう。
豊富なバリエーション
本編で発生する主人公の台詞は剣を振ったときなどの「やぁ」や、ダメージを受けたときの「うッ」など、短いフレーズのものが大半である。
収録時間の許す限り、氏には、いくつも「やぁ」や「うッ」などを演じていただいた
氏の好演に触発され、筆者のオーダーにも熱が入る。
右は、主人公が高い位置から飛び降りて着地した際のボイスのニュアンスを、筆者がポーズ付きで説明しているところである。
濃密な収録
氏の収録は、頭はもちろん、台詞のニュアンスを伝えるため、肉体をも使ったものとなった。
時間こそ短かったものの、濃密で非常に心地よい疲労感を得ることができた収録となった。
日頃の運動不足がたたったのか、太ももの裏に若干の違和感を感じつつ、筆者は収録現場を後にした。